大阪市北区天満橋にあるOAPの近くを通ったときに,公開緑地内にある展覧会「OAP彫刻の小径2021-2022: 林武史+松井紫朗 doodling – ちょうこくかのらくがき」をたまたま見つけたので見てきました.
看板が設置してあり,1本の道の両側に作品が展示してありました.
多くの作品が,雨が降ることで意味を成すもので,とても面白かったです.この日は晴れていましたが,雨の日に見に行くとより一層楽しいかもしれないと思いました.
みずをつなぎあわせる
雨水が2本のパイプを通って進み,合流する様子を表現したのだと思います.
そらをもぐりこませる
ふねをうきあがらせる
雨が降ると上部の船が浮き上がる仕組みなのかもしれません.
やまをもちあげる
これも雨が降ると上部の山が持ち上がる仕組みなのかもしれません.
あめをかざりつける
作品の天井によって集まった雨水が,中央の箱に飾り付けられる様子を表現したのだと思います.
あめをひきよせる
作品の天井は,雨が降ると1個の穴に水を集めて,内部に作られた滝が動作するようになっているようです.
みずたまりをおとす
あなをとびこえる
石の上部と側面の穴が繋がっていて,漏斗によって集まった雨水がこの穴を通じて石を通り抜ける様子を表現したのだと思います.
公式サイトを拝見しましたが,多くの作品の写真が,晴れの日に水を流して撮影されたようで,やはり,雨が降ると動作するというテーマの展覧会のようです.
8点すべてに登場する細 長い空洞 (トンネル) に注目するのがよいだろう。...この空洞は、ほとんどの作品で、水平と垂直が組み合わされており、反対側を見通すこ とができない。唯一、 《やまをもちあげる》は水平のトンネルだが、目線よりもかなり高い位 置にあるために、やはり見通すことはできない。そのため、彫刻の姿を十全にとらえるためには、想像力に頼らなければならないことになる。...その役割を果たすのが雨水となる。これらの作品は、林の担当した箇所と 松井の担当した箇所とに分かれているが、それがコラボレーションであることは、雨水が連 続して通過することによって示される。ただし、石の穴と金属のパイプが接着している作品 では内部の空洞を見ることができないし、離されている《あなをとびこえる》ではその部分 を頭のなかで補って見なければならない。 《ふねをうきあがらせる》では、高い位置にある 舟の内部とその下のパイプが連続しているかどうかも明らかではない。いずれにしても、 想像力が要求されるのである。 こうした想像力は彫刻の外観を見る際にも要求される。石の天板を用いた《みずたまり をおとす》《そらをもぐりこませる》《みずをつなぎあわせる》では、いずれも、天板の高さ が鑑賞者の目線の高さに合わせてある。通常の視点から見るときには、その上側がどうなっ ているかを想像するように誘われる。 《あめをひきよせる》と《あめをかざりつける》では、 滝と茶碗が壁に囲われるかたちとなっており、トンネルのタイプとは異なる内部と外部の関 係が示される。これらふたつの作品は、とくに、神聖さやエロティシズムを喚起するところが あるが、これも想像力の働きといえる。(展覧会記録リーフレット〈オンライン版〉より抜粋して引用.)
写真を撮影するのが難しい作品が多いと感じましたが,これは作者の意図のようで,一方向から見ただけでは全体を把握できずに想像力が要求される仕組みになっているそうです.「指を置く」展に似た印象を受けました.