セガが公開しているRPGアプリ シンクロニクル をプレイして,このアプリが1年でサービス終了する理由を考察してみます*1.
RPGゲームとしては楽しい
ストーリーは,メイドインアビスと進撃の巨人を足してRPGに仕立て上げた感じで,真新しさはありませんが,面白いです.
キャラクターのサイドストーリーや絆を深めていく演出などもよくできており,育成にも連動するようになっています.
3Dキャラクターやイラストもちゃんと描かれています.フルボイスではありませんが,重要なシーンはボイス付きで,たくさんの声優さんが起用されているようです.
最初の頃はバトルの面白さが分からなかったのですが,下の "TURN END" ボタンの価値に気づけば一気に戦略性が増えます.最初のターンで 1 BP残しておけば,任意の場所に移動してからターンを終えることができます.攻撃ボタンと比較してこのボタンの色があまりにも薄く,中途半端な位置にあるので気づくまでに時間がかかりました.
キャラクターごとに範囲攻撃や連続攻撃,属性,スキルなどさまざまな個性があるため,どのキャラクターを組み合わせて戦うかを考えるのも面白いです.
途中から入隊したキャラクターのレベル上げも,ボーナスが付与されたり,戦闘に参加しなくても経験値が付与される枠があるなど,親切な設計です.
界層ごとにキーキャラクターが設定されており,せっかく育成したキャラクターが,界層を進むと役に立たなくなると残念に感じるユーザーもいるかもしれませんが,新たにキャラクターを育成するコストが低く設定されていることと,キャラクターの個性がバトルに生きるような戦闘システムがあるので,むしろ流動性を高めるいいきっかけだと感じました.
音楽も Kevin Penkin さんら有名な作曲家が手掛けていて,特設ページを作るなどかなり気合いが入っているようです.アプリ内にはミュージックプレイヤーが搭載されていて,無料で全楽曲を聞けるようになっています.
プレイしていてバグは全く気づきませんでした.公開されてから1年程度経過してからプレイし始めたため,影響の大きな不具合は修正されていたのかもしれませんが,とても品質がよいプログラムだと思います.
スマートフォンで遊ぶにはきつい
ここまで重厚感があるゲームならば,ストーリーもしっかり読まないと楽しめないので,腰を据えて遊ぶ必要があります.スマートフォンだと手が疲れます.
スマートフォンのアプリは,たいてい隙間時間に使うと思うのですが,このアプリを隙間時間で遊ぶのは難しすぎます.ストーリーをスキップしたり,バトルをオートで攻略できるほどレベルを上げてしまうと,魅力がなくなってしまいます.スキップチケットもありますが,ほとんど使わずにすんでしまいましたので 300 枚ほど余っています.
一部のキャラクターをとことん育成しにくい
シンクロニクルのバトルでは,敵の弱点や攻撃に対応するようなパーティーを組む必要があるため,一部のキャラクターをとことん育成してもあまり価値が感じられません.むしろさまざまなキャラクターをバランスよく育成する方が楽しめるので,ソシャゲとしては売れにくいように思われました.
無料で魅力が享受できる
サービス終了が発表されてからプレイし始めましたが,無料でいただいたアイテムやジェムだけで,2週間で第4界層までクリアできました.2023/03/28現在は第5界層まで公開されており,最終的には第6階層で終了するらしいです.
このアプリの魅力のほとんどは,無料で享受できるようになっているのが,最大の失敗だと思います.例えば,アプリ内のミュージックプレイヤーを有料で販売するなどの方法が考えられます.大変魅力的な音楽で構成されているので,有料でも売れるのではないかと思います.
課金形式のソシャゲではなく,買い切りの有料アプリとして販売すれば,ビジネスとしてももっと成功したのかもしれません.
1年でサービス終了はもったいないので,買い切りの有料アプリとしてリリースして欲しいなと思いました.
*1:2022年春公開(https://www.sega.jp/topics/detail/220225_4/),2023年5月に終了予定 (https://sin-chronicle.sega.jp/news/2023-03-14-02/)