みーのいろいろ

管理者「みー」のブログです.思いついたことを思いつくままに.

髪型を厳密に表現する方法

美容院や床屋で髪型をどうするかと聞かれても,

「かっこよく」

「前髪は短めで,横は短めで,後は長め」

「アフロで」

というような,抽象的な表現しかできないことに気づいたので,客観的かつ一意的に髪型を表現するにはどうすればよいのかを考察してみた.なお,床屋よりも美容院の方が髪型の指定に自由があるため,今回の文章では美容院でカットすることを想定した.決して床屋を無視しているわけではないことを始めに断っておく.

方法1:すべての髪の毛の長さを指定する

考えうる限り最も汎用性が高く,正確な指定ができる方法だと思われる.

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頭頂部を原点Oとして,表皮を曲面Sとし,dorsal(前)方向をu軸,right(右)方向をv軸と定義する.任意の点(u,v)から伸びる髪の毛の長さをlとしたデータシートを作成し,美容師に提出すればよい.

  • フォーマット例
  • 単位:mm
  • l(0,0)=50
  • l(0,1)=50
  • l(0,2)=51 ....

この方法のデメリットとして,頭頂部をどのように定義するかによって若干の誤差が生じる,髪の毛とあごひげが連続しており,曲面Sが一部閉曲面になっていてる場合,座標の表現が難しい,などが挙げられるが,そもそもデータ量が膨大すぎて口で説明するには時間がかかりすぎるし,ほとんどの美容師はデータシート通りにカットすることは不可能であろう.

方法2:すべての髪の毛の長さを統一する

方法1のデメリットを解消するために,髪型を出来るだけ簡単に説明することに主眼を置いた方法である. 「すべての髪の毛の長さを3cmにしてください」 などと美容師に伝えるだけでよいので,非常に楽である.

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髪型は,自分の髪の毛が生えている領域の形と,指定する長さの2つによってのみ決定される.デメリットとしては,髪が後退している場合それがおもいっきりバレてしまう,人によっては似合わない,などが考えられる.

また,このような髪型をしている人は世の中にほとんどいないであろうから,髪型が急に変わり,周囲の人からあれこれと文句をつけられる可能性が極めて高いのが難点である.

閑話休題:雑誌などを見せ,「こんな感じにしてください」と言う

髪型の雑誌を美容院に持って行って,「こんな感じにしてください」と言えばいいのではないか?と思われるかもしれないが,これはダメである.

まず,「こんな感じ」と言っている時点であやふやである.また,ほとんどの美容師は,雑誌の髪型を参考に,客にあうように髪型を再構成するため,結局は美容師の主観が入った髪型になってしまい,厳密な表現ではないのである. 「美容師の主観が入っていいのでは?だから美容師のことをスタイリストとも言うんでしょ」と反論する人はここでの議題を理解していない.髪型を厳密に表現できれば,どんな美容師がカットしても同じ髪型に仕上がるはずである.美容師の主観に依存している限り,厳密な髪型の表現とは言えない.

「雑誌の通りにしてください」これは一見簡単な説明のようで,非常に曖昧な表現である.このような曖昧な注文が全国の美容院で行われているからこそ,

http://komachi.yomiuri.co.jp/t/2013/0225/576015.htm?g=01

のようなイザコザが頻繁に発生するし,

http://gigazine.net/news/20091018_haircut_awesomeness/

に見られるようなジョークすら笑えてしまうのである.

方法3:すべての髪の毛の長さを一定の割合短くする

説明文の短い,という方法2のメリットを残しつつ,よりよい方法を試案した結果,かなりよいアイディアを思いついたので紹介する.

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ある髪の毛(u,v)の長さがl(u,v)で,成長速度がb(u,v)であるとし,時間Tの間隔で髪の毛を切りに美容院に行き,「すべての髪の毛の長さをa倍にしてください.(0 < a < 1)」と注文する人の髪型を考える. 繰り返し美容院に行くと,髪の毛の成長する長さに関して,

T*b(u,v) = l(u,v)*(1-a)

が成り立つ長さに収束するので,すべての髪の毛は

l(u,v) = T*b(u,v) / (1-a)

へと収束する.この方法では,髪の毛の成長速度に比例した長さへと収束するので,髪の毛の意志を尊重した髪型になると考えられる.早く伸びる髪の毛は長く,あまり伸びない髪の毛は短くなるからである. したがって,毛根の意図を尊重した合理的で素晴らしい髪型になると考えられる.

この方法は,方法2のデメリットである「急激な髪型の変化」を回避することができる.なぜなら,この方法では複数回美容院に行くことで徐々に理想の髪型へと漸近していくからである. これで周囲の人からあれこれと文句をつけられることもない.

なお,a=0の時は「スキンヘッド」,aが十分に小さい時は「坊主頭」,a=1の時は「髪の毛を切らない」になり,汎用性が高いこともこの方法のメリットである.

ただし,この方法では,厳密な髪型の指定が難しい.複数回のカットで目的の髪型へと近づけるため,待てない人にはおすすめできない.

結論

現在のところ,方法3が最も良さそうである.

イラスト:http://illustmaker.abi-station.com/ より作成